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シリーズ 第9回 「“新”がつくことに加点する」
会社の中には、長く続いているやり方を「これが一番正しい」「この方法で十分やっていける」と
信じて疑わない風土が根強く残っているところがあります。
確かに、過去に成功した方法を踏襲することは、一定の安定をもたらします。
しかし、それは同時に、変化への対応を拒み、成長の芽を摘んでしまうことにもつながります。
時代は常に変化しています。顧客のニーズ、競争環境、テクノロジー、働き方――どれを取っても、
10年前と今とではまったく違う世界です。
かつての成功体験を基準に判断し続ける会社は、そのスピードについていけず、やがて衰退の道をたどります。
新しい人材を雇用するということは、単に人手を補うことではありません。
それは「新しい風を会社に吹き込む」ことを意味します。
新人は経験こそ浅くても、柔軟な発想や、これまで社内になかった視点を持っています。
つまり、会社にとっては「現状を見直すチャンス」なのです。
しかし、「新人だからまだわからない」と意見を封じたり、挑戦を許さない雰囲気を作ってしまえば、
せっかくの新しい風が届かなくなります。
守旧ではなく、改善を、そして改革(イノベーション)を起こすことこそが会社運営の根幹です。
「前例がない」「やったことがない」――そうした言葉で新しい挑戦を止めてしまえば、
社員の意欲も下がり、会社全体の活力も失われていきます。
むしろ、会社は「新しいことをやる人を応援する文化」を明確に打ち出すべきです。
そのために有効なのが、人事評価制度の見直しです。
多くの会社では、「ミスをしない」「言われた通りに正確にこなす」社員が高評価を得がちです。
もちろん、ルールを守り、安定して成果を出すことも大切です。
しかし、同時に「新しいことに挑戦しようとする姿勢」「現状をより良くしようとする工夫」
「前例のない課題に向き合う勇気」に対して、しっかりと加点することが必要です。
たとえ挑戦が失敗に終わったとしても、その試みの中にこそ次の改善策のヒントがあるはずです。
挑戦を許さない会社では、社員はリスクを恐れて動かなくなり、「指示待ち文化」が定着します。
結果として、誰も自発的に動かず、会社の未来を切り開く力が失われてしまいます。
一方で、「新しい提案をしてくれてありがとう」「やってみよう」という言葉が自然に出てくる会社は、
社員が安心して挑戦できる雰囲気を持っています。
そこには、前向きなエネルギーと創造性が生まれます。
そして、そのような会社にこそ、社員は長く定着し、ワーク・エンゲイジメントが高まるのです。
まとめ
これからの時代に求められるのは、「“新”がつくことに加点する」企業文化です。
「新しい提案」「新しい取組」「新しい考え方」――そうした挑戦にこそ大きな価値を認め、
積極的に評価することが、組織を活性化し、社員の成長意欲を引き出す最大の鍵です。
変化を恐れず、“新”を歓迎する会社こそ、社員が成長し、定着する会社なのです。