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シリーズ第5回 「会社のしきたりを教えない」~“常識の押しつけ”が離職を招く~
「うちの会社には、昔からのやり方があるから」
「これは代々こうしてきたことだから、まずは覚えてもらわないと」
そんな言葉が新入社員への指導の場で飛び交っていませんか?
それが就業規則などの公式なルールであれば問題はありません。
しかし、現場で受け継がれている「しきたり」や「暗黙の了解」が、あたかも会社の公式ルールのように
扱われている職場は少なくありません。
今回は、その教えてしまいがちな「しきたり」が、新入社員の早期離職を招く重大な原因になりうる、
というお話です。
■ 根拠のない「しきたり」は、新入社員にとっては意味不明
たとえば――
これらは就業規則にも研修マニュアルにも書かれていない、いわゆる“社内のしきたり”です。
古くから勤める社員にとっては“当たり前”でも、新入社員からすれば「なぜそれをしなければならないのか?」
と戸惑うことばかり。
しかもそのルールが合理的でなく、単に「昔からそうしてきた」という理由しかないなら、
彼らの中に湧くのは納得ではなく、反発や失望です。
■ 「しきたり」ではなく「盲従の空気」に絶望する
本質的に新入社員が苦痛を感じるのは、しきたりそのものではありません。
それを疑問視もせず、盲目的に従っている社員の姿や、
それを 是正しようとしない会社の姿勢に対して、です。
「この会社、何も考えていないのでは?」
「建前は立派だけど、実態はこんなに古くさいのか」
そう感じた瞬間、せっかく希望をもって入社した会社に対する期待は一気に崩れ去ります。
そして、「ここにいても未来はない」と早々に退職を選ぶことは、もはや珍しいことではありません。
■ 新入社員は“社内の非常識”を見抜くリトマス試験紙
新入社員を迎える最大の価値は、業務の即戦力ではありません。
むしろ、“会社の中にある当たり前”が、世間の常識とかけ離れていないかをチェックする
「外部目線」を持った存在として活用できることにあります。
こういったことに疑問を持ち、声に出す新入社員こそが、会社を“内側から刷新するチャンス”なのです。
■ 不易流行を理解し、「変えるべきもの」を見極める
もちろん、会社には守るべき“変えてはならない価値観”もあります。
たとえば、
こうした“根幹”は不易、つまり変わるべきではない部分です。
一方で、業務の進め方、ルール、社内の慣習などは「流行」、時代や価値観の変化に合わせて
変化させていくべきものです。
“不易流行”の視点で、新入社員の意見を歓迎し、取り入れる姿勢こそが、今の時代の企業に
求められているマネジメントの在り方だと言えるでしょう。
■ まとめ:新入社員を“会社を変える起点”に
「新入社員にはまず会社のやり方を覚えてもらう」(染まってもらう)
これは、かつての常識でした。
しかし今は、「新入社員から、会社が学ぶ」ことが当たり前の時代です。
彼らの感じた違和感は、外の世界とのギャップであり、
会社の“見えにくい非常識”を映す鏡です。
不合理や非効率に気づかせてくれる存在を
“染めてしまう”のではなく、“革新のヒント”として大切に扱うこと。
それを実践する企業こそ、真に“人が定着し、成長できる会社”だといえるのではないでしょうか。