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社員が自発的に仕事へ取り組み、やりがいや達成感を持って働く状態を「ワーク・エンゲイジメント」と呼びます。
これは、組織の生産性を高めるだけでなく、離職防止にもつながる極めて重要な概念です。
今回は、ワーク・エンゲイジメントを高めるうえで欠かせない「個別目標の設定」と、
それが「部門の目標とどう結びついているか」という点についてお伝えします。
■ 一人ひとりの目標は“部門の役割”とリンクしてこそ意味がある
どんなに社歴が浅くても、担当している仕事が目立たなくても、社員一人ひとりが取り組む仕事は、
必ず「部門の目標」につながっているべきです。もし、本人が自分の目標と部門の目標が関係していないと感じたとしたら、
の瞬間に「自分は期待されていないのか」「この会社で何を目指せばいいのか」とモチベーションが大きく低下します。
実際、「自分のやっている仕事が組織全体にどう貢献しているか分からない」という状態では、
日々の業務が“雑用”のように感じられてしまい、エンゲージメントは下がっていく一方です。
■【悪い例】部門とのつながりが感じられない目標
たとえば営業部の若手社員Aさんに、上司がこう伝えたとします。
「Aくんの目標は“月1回、上司に営業報告書を提出すること”でいこうか」
形式上は「業務目標」のように見えますが、本人にとっては「報告だけ? これって何の意味があるの?」と、
モヤモヤが残ります。
部門全体が「新規顧客開拓数の増加」を目指しているにも関わらず、報告という“手段”だけを目標にされることで、
成果とのつながりがまったく見えない状態です。
■【良い例】部門目標と個人目標がつながっている設定
一方で、同じAさんにこう伝えたとしたらどうでしょう。
「営業部は、今年“新規顧客のアプローチ件数を前年比120%にする”という目標があるのは知っていると思う。
その中でAくんには“週3件の新規訪問アポを継続的に獲得し、アプローチ成功の会社の傾向を月1回レポートにまとめる”
という目標をお願いしたい。成果が出れば、今後の営業戦略の軸になる」
このように、部門全体の目標(新規開拓)に対して、個人の行動がどう貢献するかを明確に示すことで、
Aさんは「自分も戦力の一員なんだ」という実感を得られます。
そして、上司との進捗を確認する面談でも、目標達成への課題を戦略的な視点で対話できるようになるのです。
■ 雑用に“目標”の名を借りない
部門目標と無関係な「コピー用紙の補充」「書類の整理」などを“個人目標”として設定することは絶対に避けてください。
社員はその意図を見抜きます。「評価のために目標を立てたフリをしているだけだな」と感じた瞬間、
やる気は一気に冷めてしまいます。
ワーク・エンゲイジメントとは、「自分の仕事が意味あるものとして評価され、期待されている」という
実感の中でこそ育つのです。
■ 面談の質は“目標のつながり”で決まる
近年、多くの企業で導入されているOne on Oneミーティングや定期面談。しかし、個人目標が部門目標と
リンクしていない状態で行われる面談ほど、意味のないものはありません。
上司は、具体的なアドバイスは提供できず「がんばって」としか言えず、部下は「何を聞かれるんだろう」と
構えるだけ。そんな面談から信頼関係は生まれません。
「この目標はなぜ必要なのか」「達成すれば、部門にどう貢献できるのか」をしっかり共有することが、
真の対話を生み、面談の価値を高めるのです。
■ まとめ:すべての目標は「つながり」で価値を持つ
個人の目標と、部門の目標。
部門の目標と、会社のビジョン。
このすべてがつながっていれば、社員は「自分の仕事は、組織全体に必要とされている」と実感できます。
「自分の存在が会社にどう貢献できるか」
それを明確に伝えることこそが、上司のもっとも大切な役割ではないでしょうか。
それが出来れば、社員の定着は成功したも同然です。