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シリーズ第5回 「安全衛生管理体制」の整備は従業員を守る第一歩
会社を選ぶとき、求職者が重視するのは給与や勤務時間だけではありません。
「この会社は安心して働けるだろうか」
「心身の健康を大切にしてくれるだろうか」
そんな視点を持って企業を見ている人は年々増えています。
このような中で、今企業に求められているのが安全衛生管理体制の整備と、法改正へのタイムリーな対応です。
労働安全衛生に関する取り組みは、法令順守のためだけでなく、企業の姿勢を表すものでもあります。
■ 2024年6月施行「熱中症対策義務化」はすべての業種が対象
今年6月1日より、屋内外を問わず一定の暑熱環境にある作業場を有するすべての事業者に対して、
熱中症対策が義務化されました。
これは建設業や製造業などに限らず、物流倉庫、厨房作業、クリーニング工場、空調のないオフィスなど、
業種を問わず幅広い現場が対象となります。
義務の内容は、以下のような項目を含んでいます。
・暑熱環境の把握と温度管理
・作業環境の改善(通風、遮熱)
・こまめな水分・塩分補給の指導
・作業者の体調確認・健康観察
・教育訓練やマニュアル整備
特に注意が必要なのは、罰則が厳しい点です。
違反した場合には、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という重いペナルティが課せられる可能性があります。
企業規模にかかわらず、該当する職場環境を持つ場合は、早急に対応を進めるべきでしょう。
■ ストレスチェックの義務化も、小規模事業場へ拡大予定
また、もう一つ注目すべきは、ストレスチェック制度の義務化対象拡大です。
これまで、ストレスチェックは従業員が常時50人以上の事業場でのみ義務化されていましたが、
2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、
今後3年以内(2028年5月まで)に、すべての事業場を対象とする義務化が予定されています。
詳細な施行日は未定ですが、法令上は“3年以内に政令で定める日”とされており、前倒しの可能性も十分あります。
■ 「小規模だから関係ない」は通用しない時代へ
厚労省は、対応の負担が大きくならないよう、柔軟な対応策を検討していますが、制度として義務化される以上、
今のうちから体制を整えておくことが肝心です。
特に中小企業では、従業員一人ひとりの不調が会社全体のパフォーマンスに直結します。
ストレスチェックは単なる「書類上の対応」ではなく、早期のメンタル不調の発見や職場環境の改善につながる
一次予防ツールとして非常に重要です。
これは企業規模に関係なく、すべての経営者の課題になります。
■ 法改正への対応は、求職者・社員からの“信頼の証”
昨今の就職活動では、若年層を中心に「働きやすさ」や「健康への配慮」を重視する傾向がますます強まっています。
ホームページに「健康経営に取り組んでいます」と掲げるだけでなく、
・法改正の内容を理解し、
・自社に必要な対応を明確にし、
・タイムリーに社内制度へ落とし込む
このプロセスを着実に行っている企業は、求職者に選ばれる会社となります。
同時に、現在働いている社員にとっても、「この会社は私たちのことを考えてくれている」という
安心と信頼につながります。
■ まとめ:変化をいち早くキャッチし、誠実に対応する姿勢を
法改正への対応というと「手間がかかる」「うちは小さい会社だから」と後回しにされがちです。
しかし、今回の熱中症対策義務化やストレスチェックの拡大のように、すべての事業者が対象になる動きが
加速しています。
だからこそ、早めに取り組むことで「社員想いの会社」「時代に沿った柔軟な会社」としての評価を得ることができます。
今ある制度をただ守るだけでなく、タイムリーに社内体制を整備し続けることこそが、選ばれる会社の条件です。