ブログ

退職防止の策としてのワーク・エンゲイジメント向上

シリーズ第7回 「小さな成果を継続させる」

社員の定着を図る上で、ワーク・エンゲイジメントの向上は欠かせません。その中でも特に効果的なのが、
「小さな成功体験を継続させる」ことです。新入社員の時期から、成功体験を継続的に与える仕組みを作ることで、
自信・意欲・帰属意識を育み、長期的な定着につなげることができます。

1.キャリアアップ・プログラムの設計

まず重要なのは、入社から1年、3年、5年程度でのキャリアアップ・プログラムを用意することです。
新入社員にとって、未来のキャリアが漠然としている状態は不安を生みます。
「この会社で成長できるのか」「自分の役割はあるのか」といった疑問を抱えたままでは、モチベーションが下がり、
退職につながるリスクが高まります。
明確な成長ステップを提示し、1年後にはこのスキル、3年後にはこの役割、5年後にはこの責任といった道筋を示すことで、
将来の展望が見えやすくなり、安心感と目標意識を持つことができます。

2.入社1年目の「小さな成功体験」

特に入社1年目は、新入社員にとって最も重要な時期です。
この段階で大きな成果や高度な任務を期待するのは逆効果となる場合があります。
逆に、少し頑張れば達成できる課題や任務を与え、周囲がサポートしながら成功体験を積ませることが重要です。
例えば、簡単なプロジェクトの一部を任せて成功させる、先輩社員と一緒に小規模なタスクをやり遂げるなど、
「できた!」という実感を早い段階で持たせることが有効です。

3.成功体験がもたらす効果

小さな成功体験は、新入社員に自信を与えます。そして、自信はさらなるレベルアップへの意欲を生みます。
自分の成長を実感できると、「もっと挑戦したい」という気持ちが自然と湧いてくるのです。
また、周囲のサポートを通じて、「自分は一人で成果を出したのではない」と理解することも大切です。
仲間や先輩のアドバイスがあって成果が出せたと感じれば、会社への信頼感や帰属意識が育まれます。
これは組織の一員として働く上での大きな動機づけになります。

4.ポジティブな組織観の形成

入社間もない時期の成功体験の積み重ねは、会社や組織をポジティブに捉える土台を作ります。
「頑張れば成果が出る」「この会社は自分を支えてくれる」という実感があれば、多少の困難に直面しても、
「乗り越えられるはずだ」という前向きな姿勢を持つことができます。
逆に、入社初期に失敗ばかりを経験し、サポートもない状況では、
「この会社は自分を成長させてくれない」というネガティブな印象が強まり、離職のリスクが高まります。

5.学び・挑戦・失敗体験のバランス

忘れてはならないのは、学びや挑戦、失敗体験も同じくらい重要だということです。
小さな成功体験だけではなく、失敗を経験し、その原因を振り返り、再挑戦して成功するプロセスこそが成長の糧になります。
失敗をしたときに、「なぜ失敗したのか」「次はどうすればいいのか」を一緒に考え、改善の機会を与えることが、
新入社員の自信と粘り強さを育てます。

まとめ

小さな成功体験の継続は、退職防止の大きなカギです。

  • 成功体験は自信を生み、意欲につながる
  • 周囲のサポートを通じて組織への信頼と愛着が育つ
  • 失敗を含む挑戦のプロセスが成長の糧となる

最終的に、「頑張ればできる」「自分はこの会社で成長できる」という確信が、新入社員を長く定着させ、
ワーク・エンゲイジメントを高める基盤となります。
経営者や管理職の皆さんには、日々の小さな成功を見逃さず、継続して積み重ねさせる工夫
意識していただきたいと思います。

PAGE TOP