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会社内で必要なコミュニケーションとは何か

シリージ 第7回 「話すことで発想が膨らむ」

新しい企画や改善策を考えるとき、多くの人はまず「自分の頭の中で」考えを練り始めます。
もちろん、それは自然なプロセスです。しかし実は、自分ひとりで思いついた発想というものは、
あくまでも“きっかけ”に過ぎないことが少なくありません。

なぜなら、自分のアイデアというのは、自分が持つ経験・知識・体験の範囲の中でしか形作られないからです。
本人にとっては斬新に思えても、他人から見れば「よくある話」であることも多いものです。

第三者に話すことで“化学反応”が起きる

ここで重要なのが「話す」という行為です。自分の頭の中にあるだけでは一方通行の思考にとどまりますが、
第三者に伝えることで、初めてリアクションが返ってきます。

「それならこういう方法もあるのでは?」
「似たようなケースを前に経験したことがある」
「それだとリスクが高いけれど、少し工夫すれば実現できそう」

こうした反応は、自分の発想を新たな方向へ導きます。つまり、他人の知恵や経験と混ざり合うことで、
最初のアイデアが化学反応を起こし、より強固で新しい発想に進化していくのです。

1人でも多くの人に意見をもらうことの意味

新しい金属をつくるとき、単体の金属では強度や耐久性に限界があります。
しかし、異なる金属を組み合わせて「合金」をつくることで、まったく新しい特性を持った強力な素材が生まれます。

これと同じように、自分の発想に他人の視点を融合させることは、強靭で独創的なアイデアを生み出すことにつながります。

だからこそ、思いついたらできるだけ早く、1人でも多くの人に話すことが大切です。
否定されることもあるでしょう。しかしその否定こそが、新しい気づきをもたらします。

1人で進めるリスク

一方で、誰にも話さず自分だけでアイデアを温め続けるとどうなるでしょうか。
残念ながら、その多くは実行段階で破綻したり、周囲の理解が得られず頓挫することが少なくありません。

「もっと早く相談してくれればよかったのに」
「すでに同じことを別の部署で試して失敗していた」

そんな声が後から出てくるのは、自分だけで進めてしまったからです。
会社は1人で動く場所ではなく、組織として動く場です。
だからこそ、多くの人の知恵を借りることが前提であるべきです。

話し合いから“別次元の発想”が生まれる

特にグループディスカッションやブレーンストーミングの場では、最初に想定していた方向性とはまったく違う結論
にたどり着くことがあります。

当初の案は「単なるきっかけ」であり、話し合いを重ねることで全員が納得できる、より良い結論に変わっていくのです。
これこそが、コミュニケーションの持つ大きな力です。

結論:発想は話してこそ育つ

大切なのは、自分の発想を独り占めしないことです。
思いつきを自分だけで抱え込まず、早く他人に披露し、思い切り叩いてもらいましょう。
そこから生まれる否定や指摘、アドバイスや知恵の融合こそが、最も価値のあるプロセスなのです。

叱咤激励を受けながら発想を練り上げることで、最初は小さな「思いつき」だったものが、
やがては組織全体を動かす「確かな企画」へと成長していきます。

会社に必要なコミュニケーションとは、単なる報告や連絡ではありません。
発想を共有し、叩き合い、共に育てていくこと
それこそが、会社を発展させるための最も重要な対話のあり方なのです。

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