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シリーズ第9回 「賃金規程の定め」こそ、信頼の第一歩
2024年4月の法改正により、労働条件通知の内容がより細かく、具体的に求められるようになりました。
その中でも「賃金」に関する取り決めは、求職者が最も関心を寄せる項目の一つです。
だからこそ、トラブルが発生しやすい部分でもあります。
今回は、会社が信頼を得るために避けて通れない「賃金規程」について考えてみましょう。
固定給の中に隠された“落とし穴”
賃金は、基本給に各種手当を加えた形で構成されます。
しかし、求人票などで「固定給40万円」と表示されていても、実際にはその中に「固定残業代」が
含まれているケースがあります。
たとえば、固定給40万円のうち、基本給は30万円で残り10万円が「固定残業代50時間分」という事例です。
ぱっと見は、高収入のように見えますが、実際は“最初から残業ありき”の前提で設計された賃金体系であり、
求職者を誤解させる結果になりかねません。
こうした表示は、「働きやすさ」や「ワークライフバランス」を重視する昨今の労働市場においては、
マイナスの印象を強く与えます。
近年の求職者は情報感度が高く、家族や友人からのアドバイスも含めて企業を冷静に見極めています。
不透明な賃金体系を提示する会社には、もはや人材は集まりません。
トラブル防止のカギは「賃金規程の明文化」
労働条件通知書だけではなく、会社の就業規則に付随する「賃金規程」をきちんと整備しておくことが、
確実な対策です。
賃金の構成要素(基本給、職能給、各種手当、固定残業代、賞与、通勤手当など)を明確に定義し、
支給基準や算定方法を誰が見ても分かるようにしておくことが重要です。
また、「固定残業代」を採用する場合は、
①対象となる残業時間数
②対象外となる深夜・休日手当の扱い
③超過した場合の清算方法
を明記することが必須です。
これをあいまいにしていると、入社後に「未払残業代」の紛争に発展するリスクが非常に高まります。
信頼される会社の共通点は「説明責任を果たしている」
結局のところ、会社の誠実さは「どこまで丁寧に説明しているか」で判断されます。
「うちは法律を守っています」だけではなく、
「あなたの賃金はこういう基準で決まっています」「昇給はこういう仕組みです」と具体的に
伝えることで、求職者は安心して入社を決意できます。
この「丁寧な説明」は、企業の信頼につながり、定着率の向上にも直結します。
特に中小企業では、こうした誠実な情報開示が“他社との差別化”の最大のポイントになります。
まとめ
求人活動は「会社と求職者との最初のコンタクト」です。
賃金の定めをあいまいにしたまま採用してしまうことは、契約の入り口で信頼を損なうことと同義です。
賃金規程の整備は、単なる法令対応ではなく、「約束を守る会社」としての姿勢を示すこと。
誠実に労働条件を提示し、賃金の仕組みを明確に説明できる会社こそ、
これからの時代に求職者から選ばれる企業です!