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生産性の高い組織になる鍵は、管理職の力量

シリーズ第4回 「管理職は、捨てることが仕事です」

会社は常に成長と変化を求められますが、それを阻む最大の敵は、実は「今ある業務」そのものかもしれません。

長年続いている業務、慣習、ルール。最初は確かに必要だったはずなのに、今や「やらなければならないこと」として残り続け、
誰もその目的を知りません。そのことが生産性を下げてしまっている原因であるケースが少なくありません。

増えすぎた“余計なプロセス”が組織を鈍らせる

会社の業務は、時間が経つにつれて当初の目的を忘れがちです。
たとえば「部内での情報共有化を図るために導入した報告書」が、いつの間にか「毎日記入するのが目的」になっていたり、
「人事評価の材料」になっていたり…。

目的を見失った業務や手順が積み重なると、本来注力すべき業務に使える時間と労力はどんどん減っていきます。

こうした“本末転倒”を防ぐためには、定期的に「今やっていることは本当に必要か?」と問い直し、
時代と目的に合わないものは捨てることが必要です。

「捨てる」ことには、勇気がいる

現場では、「これ、もうやめよう」と誰かが言い出すことは簡単ではありません。

  • 今までこれでやってきたから」
  • 誰かが困るかもしれないから」
  • 自分の立場で言うのは難しいから」

そんな空気の中で、“わかっているけれどやめられない”という業務が居座り続けます。

ここで求められるのが、管理職の決断と行動力です。
率先して「これはやめよう」「こっちの方が合理的だ」と方向性を示すことが、管理職の大切な役割です。

捨てられなかったことで生じた弊害の例

ある会社では、売上分析会議を週1回、必ず全営業社員で行うことが長年のルールでした。
しかし、分析に使われるデータはすでに社内イントラで随時確認できるようになっており、
会議は「既に知っていることの報告会」となり、分析のために必要な新しい議論が行われていない状態になり、
会議は毎週の儀式化していました。

結果、1時間半もの時間を「決まりだから」という理由で消費し続け、無駄な時間を浪費していました。
ある管理職が「一度やめてみよう」と声を上げ、必要な場面だけ集まるスタイルに切り替えたことで、
その時間を有意義に使えることになり業務効率が改善したという事例もあります。

捨てるためのステップ

「何を捨てればいいか分からない」という声も多く聞きます。
そこで、以下のような手順で“捨てる管理”を習慣化してみてください。

  1. 不要なことを期間を決めてピックアップする
     – 目的を果たしていない
     – 担当者が「意味がない」と感じている
     – 他の業務と重複している
  2. 捨てる前提で見直す計画を立てる
     – 何をやめるか
     – 代わりに何を始めるか(または何もしないか)
  3. 管理職が決断する
     – 問題がなければ廃止
     – 必要なら形式を変えて再導入

この一連の流れを管理職自身が主導し、継続的に行うことが「変化できる組織」をつくる鍵になります。

捨てなければ、新しいことは始められない

物理的にも精神的にも、抱えられるものには限界があります。
つまり、新しい挑戦、新しい改善、新しい制度を導入するには、何かをやめる勇気が不可欠です。

そして、その決断を率先して行うのが管理職です。
ただ“足す”のではなく、何を“引く”か、何を“捨てる”か。新しいことを導入することは管理職以外でも可能ですが、
「捨てる」ことを決断することは管理職の専任事項です。

■ まとめ:進化の前提は「捨てる勇気」

変化する時代の中で、古い仕組みや考え方にしがみつくことは、組織の停滞を意味します。
管理職が率先して「捨てること」に向き合い、風通しの良い組織をつくっていきましょう。

何かを得るためには、何かを捨てなければならない!

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