お電話でのお問い合わせ080-3007-4864

シリーズ第9回 「深夜・休日労働の割増と管理の実務」
人手不足や業務の繁閑により、深夜労働や休日労働が発生する職場は少なくありません。
しかし、その取扱いを誤ると、未払い残業代や是正勧告といった大きなリスクにつながります。
今回は、現場管理職にもぜひ押さえておいてほしい「深夜・休日労働の割増と管理の実務」について整理します。
1.深夜労働と休日労働の基本的な割増率
まず基本となるのが割増率です。
労働基準法では、午後10時から午前5時までの労働を「深夜労働」とし、25%以上の割増賃金の支払いを義務づけています。
一方、「休日労働」は法定休日に労働させた場合に該当し、割増率は35%以上です。
深夜かつ休日に労働した場合は、それぞれの割増が重なり、60%以上の割増となります。
2.法定休日と所定休日の違いに注意
実務で特に混同が多いのが、「法定休日」と「所定休日」の違いです。
・法定休日:労基法で定められた、週1日(または4週4日)の休日
・所定休日:会社が就業規則等で任意に定めた休日
所定休日に働かせた場合、直ちに35%の割増が必要になるわけではありません。
1週間の法定労働時間(40時間)を超えた場合に、時間外労働として25%以上の割増が発生します。
「日曜日は必ず35%」といった思い込みは、誤りです。
3.休日付与のルールを軽視しない
労基法では、少なくとも4週間に4日以上の休日を与える必要があります。
このルールを満たしていない勤務形態は、それだけで法令違反となります。
現場でよくあるのが、「忙しいから今月は仕方ない」という判断ですが、
休日付与は努力義務ではなく法的義務です。
4.2026年4月予定の法改正も視野に入れる
2026年4月に予定されている労働基準法改正では、
労働時間管理の適正化や、休日の考え方についても見直しが進む方向性が示されています。
今後は、
・休日の形式的な付与
・名ばかりの休日設定
といった運用は、より厳しくチェックされる可能性が高まります。
今のうちから、実態に即した休日管理に切り替えておくことが重要です。
5.振替休日の活用は有効な選択肢
休日労働が見込まれる場合、事前に振替休日を設定することで、
法定休日労働を回避できるケースがあります。
これは、
・割増賃金の抑制
・従業員の休息確保
の両面でメリットがあります。
「とりあえず働かせて、後で休ませる」という対応は、
振替休日ではなく代休となり、割増賃金の支払い義務は消えません。
6.絶対に避けるべきことと実務上のポイント
労基法上、絶対に避けなければならないことは、
「法定休日労働をさせたのに、35%の割増を支払わない」ことです。
これは言い訳が通らない、明確な法令違反です。
管理職が現場で意識すべきポイントは以下の通りです。
・休日の区分(法定か所定か)を把握しているか
・事前に振替休日の調整ができているか
・深夜・休日が重なる労働を軽く考えていないか
深夜・休日労働の管理は、現場判断に委ねられる部分が多いからこそ、
「知らなかった」では済まされません。
制度を正しく理解し、無理のない運用を行うことが、
結果的に会社と従業員の双方を守ることにつながります。