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シリーズ第1回 「就業規則は会社の「憲法」である」
これまでのシリーズでは、労働基準法を中心に「守るべきルール」を解説してきました。
しかし実務の現場では、「法律は守っているはずなのに、なぜかトラブルが起きる」「現場の判断がバラバラになる」
といった声をよく耳にします。
その背景にあるのが、就業規則が「形式的な書類」として扱われていることです。
本シリーズでは、就業規則を単なる法定文書ではなく、経営判断を支え、組織を安定させるためのツールとして、
どのように活かしていくのかを解説していきます。
就業規則は「ルール集」ではない
就業規則というと、
「労基署に出すための書類」
「何かあったときに引っ張り出すもの」
といったイメージを持たれがちです。
しかし本来、就業規則は会社と従業員が共通認識を持つための根本ルールです。
国に例えるなら憲法、会社に置き換えれば、すべての社内ルールの最上位に位置づく存在と言えます。
さらに言えば、会社が従業員に対して、「どのような想い」を持っているかを表わすものです。
例えば、労働基準法では、ある休暇制度は無給でもよいとされているにもかかわらず、あえて「有給」として規定している。
これは、従業員に対して、その休暇を「積極的に使って、○○して欲しい」という意思表示なのです。
また、ルールブックとしての側面からみると、勤務時間、賃金、服務規律、懲戒、休職・退職…を規定するものです。
これらの判断基準が就業規則に明確に示されていなければ、現場ごとに解釈が分かれ、組織は不安定になるからです。
「書いてあるだけ」では意味がない
実務でよくあるのが、
「就業規則はあるが、内容を説明できる管理職がいない」
「運用は慣習任せで、規則とズレている」
という状態です。
この状態では、トラブルが起きた際に
「就業規則に書いてあるから」
という説明が、従業員にとって後出しの理屈になってしまいます。
就業規則は、
周知され、説明され、運用され、判断の拠り所として使われてこそ意味があります。
会社運営・経営判断を支える「共通の物差し」
例えば、
・問題行動への対応
・配置転換や業務命令
・評価や懲戒の判断
これらはすべて、感覚や人情だけで判断すると必ずブレが生じます。
そのブレを防ぐのが、就業規則という共通の物差しです。
就業規則が整備され、内容が共有されていれば、
管理職は「個人の判断」ではなく、
「会社のルールに基づく判断」として説明することができます。
これは、管理職自身を守ることにもつながります。
就業規則を「経営に活かす」とは
就業規則を経営に活かすとは、
従業員を縛るための道具にすることではありません。
・会社として何を大切にするのか
・どんな働き方を良しとするのか
・どこまでは許容し、どこからは許さないのか
こうした経営の意思を、明文化して共有することです。
これができている会社ほど、
無用なトラブルが少なく、
判断が早く、
組織としての一体感があります。
まずは「憲法」として見直すことから
就業規則を見直す第一歩は、
「法律を守っているか」だけではなく、
「この内容は、今の会社の経営に合っているか」
という視点を持つことです。
次回以降は、
・社内ルールの棚卸し
・賃金規程や服務規律の考え方
・改定時の注意点
などを通じて、就業規則を“生きた文書”にしていく方法を提案していきます。
まずは今回、
就業規則は会社の『憲法』である
この視点を、ぜひ持っていただき、就業規則の届出義務を課せられていない10名未満の会社であっても、
この機に就業規則を作成していただければと思います。