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シリーズ第6回 「服務規定は意外に重要です」
就業規則の中でも、経営者の考え方が最も表れやすい部分が「服務規定」です。
服務規定とは、社員が業務を行ううえで守るべき基本的な行動ルールを定めたものです。
例えば、「誠実な業務遂行」、「会社資産の取扱い」、「情報管理」、「職場秩序の維持」、
「禁止事項」などが典型的な内容になります。
しかし実務の現場では、
「とりあえず一般的な条文を入れておけばよい」
という形で作られている就業規則も少なくありません。
実は、服務規定は単なる形式的な条文ではなく、会社の秩序を守るための重要なルールであり、
同時に経営メッセージを社員に伝える役割も持っています。
そのため、内容の作り方によっては大きなメリットにもなれば、逆にリスクにもなり得るのです。
服務規定を明文化するメリット
まず、服務規定を明文化する最大のメリットは、社員の行動基準を明確にできることです。
「何をしてよいのか」「何をしてはいけないのか」が明確になることで、職場の秩序が保たれやすくなります。
また、服務規定は懲戒処分の根拠にもなります。
例えば、会社の信用を傷つける行為や業務命令違反などは、具体的に服務規定で定めておくことで、
問題が発生した際の対応がしやすくなります。
さらに、服務規定には会社の価値観を社員に伝える役割もあります。
誠実な業務遂行
顧客への誠意ある対応
チームワークの重視
コンプライアンスの遵守
こうした内容を盛り込むことで、社員に対して「この会社が大切にしている行動基準」を示すことができます。
服務規定にはリスクもある
一方で、服務規定は作り方を誤るとリスクになることもあります。
例えば、規定が抽象的すぎる場合です。
「会社の秩序を乱す行為をしてはならない」といった規定だけでは、具体性が乏しく、
懲戒処分の正当性が争われる可能性があります。
裁判では「何が違反になるのかを社員が予測できるか」という点が重視されるためです。
逆に、細かく書きすぎることも問題になることがあります。
規則に書いていない行為には対応できない、あるいは現場で柔軟な判断ができないという
状況が生じる可能性があります。
また、規則と実際の運用がずれてしまうと、規則そのものが形骸化してしまうことにもなりかねません。
特に重要なのが「ハラスメント防止規定」
服務規定の中でも、近年特に重要になっているのがハラスメント防止規定です。
現在では、
・パワーハラスメント
・セクシュアルハラスメント
・マタニティハラスメント
などについて、企業には防止措置を講じることが法律で義務づけられています。
さらに今後は、カスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)への対応も重要なテーマになっています。
2026年10月には、企業に対してカスタマーハラスメント防止のための体制整備が義務化される予定であり、
就業規則ににおいて、その対応方針を明確にしておく必要があります。
カスタマーハラスメントは、従業員のメンタルヘルスや離職の原因に直結する問題です。
そのため、会社として「従業員を守る姿勢」と「具体的な対策」を示すことが、
職場環境の改善にもつながります。
服務規定は「会社の姿勢」を示すルール
服務規定は、単なる禁止事項の集まりではありません。
それは、
この会社はどのような価値観で運営されているのか
どのような行動を社員に求めているのか
を示す、いわば会社の行動ルールです。
就業規則を「形だけの制度」にするのか、
それとも「経営に活かすツール」にするのか。
その分かれ目の一つが、服務規定の作り方にあると言えます。