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シリーズ第8回 「育児・介護の両立を支える助成金活用」
育児や介護と仕事の両立を支援する制度が次々と整備される中で、経営者や総務担当者から
よく受ける相談があります。「うちの会社で使える助成金はありますか?」
確かに助成金は会社にとって魅力的な制度です。しかし、助成金は単にお金をもらう制度ではありません。
本来は、従業員が安心して働き続けられる職場環境を整備した企業を後押しする制度です。
そのため、助成金を活用するためには、まず会社としての土台づくりが必要になります。
助成金申請の大前提
厚生労働省系の助成金は、雇用保険適用事業所であることが前提です。
さらに、
✔ 労働基準法を遵守していること
✔ 就業規則が適正に整備されていること
✔ 育児・介護休業規程が法改正に対応していること
✔ 出勤簿や賃金台帳等が整備されていること
などが求められます。
実務上は、「助成金を申請したい」と思った時点で就業規則の整備が不十分だったり、
そもそも就業規則が作成されてなかったりして、申請できないケースも少なくありません。
まずは法令遵守がスタートラインです。
次に、「両立支援等助成金」という育児・介護に直面している従業員が在籍している会社に
ピッタリな助成金の各コースを状況別に説明します。
ケース① 男性社員に子どもが生まれる
例えば男性社員が育児休業を取得した場合、活用を検討したいのが、「出生時両立支援コース」です。
いわゆる「子育てパパ支援助成金」と呼ばれる制度です。
男性育休を取得しやすい職場環境整備や業務体制整備を行ったうえで、一定期間の育休を取得した場合に
支給対象となります。男性育休取得率向上が政策課題となっている現在、比較的注目度の高い助成金です。
ケース② 女性社員が育児休業を取得する
出産後に女性社員が育児休業を取得し、職場復帰を目指す場合には、「育児休業等支援コース」の活用が検討できます。
この制度は、
✔ 育休取得支援
✔ 円滑な職場復帰支援
を目的としています。特に中小企業では、「復帰後の配置をどうするか」
まで含めて計画的に進めることが重要です。
ケース③ 育休中の業務を他の社員がカバーする
中小企業では、「育休は認めたいが、残った社員の負担が心配」という声をよく聞きます。
そのような場合には、「育休中等業務代替支援コース」が活用できる可能性があります。
育休取得者の業務を代替する社員への支援に着目した助成金です。
育休取得者だけでなく、支える側の社員にも目を向けた制度設計になっています。
ケース④ 小学校就学前後の子どもを養育する社員がいる
2025年10月改正では、柔軟な働き方を実現する制度整備が企業に求められるようになりました。
これに対応する形で、「柔軟な働き方選択制度等支援コース」があります。
例えば、
✔ 時短勤務
✔ テレワーク
✔ 始業終業時刻の変更
✔ 養育両立支援休暇の付与
などを導入し、従業員が利用した場合に対象となる制度です。
まさに今回のシリーズで取り上げてきた「多様な働き方」を後押しする助成金といえます。
ケース⑤ 親の介護を抱える社員がいる
介護離職は企業にとって大きな損失です。特に中小企業では、ベテラン社員が介護を理由に退職してしまう
影響は非常に大きくなります。その際に活用を検討したいのが、「介護離職防止支援コース」です。
介護休業や介護両立支援制度の利用促進を通じて、「退職」ではなく「仕事との両立」を支援することを
目的としています。
助成金より大切なこと
助成金は確かに魅力的です。しかし、 助成金があるから制度を作るのではなく、
社員に長く働いてもらうために制度を作り、その結果として助成金も活用するという順番が大切です。
助成金は一度きりですが、人材定着の効果は長く続きます。
まとめ
育児・介護に関する助成金は、単なる資金支援制度ではありません。
✔ 人材定着
✔ 離職防止
✔ 男性育休促進
✔ 女性活躍推進
✔ 介護離職防止
を後押しする経営支援策です。そして、その出発点は 法令遵守された就業規則と適切な労務管理にあります。
助成金を「申請できる会社」ではなく、助成金の対象になるような「働き続けられる会社」を目指すことが、
これからの人材確保時代にはますます重要になるのではないでしょうか。