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シリーズ第4回 「雇止め・契約更新トラブルの防止策」
「有期雇用契約だから、契約期間が終われば契約も終了する。」
このように考えている経営者は少なくありません。
実はこの認識が、雇止めトラブル等の出発点になることがあります。
確かに、有期雇用契約は契約期間を定めて締結する雇用契約です。
しかし、実務では「契約書に何と書いてあるか」だけではなく、「会社がどのように契約を運用してきたか」という
実態が非常に重視されます。
例えば、契約更新の時期が来ても何の手続きもせず、そのまま働き続けてもらっている会社があります。
契約書も新たに交付せず、更新についての説明もないまま勤務を続けてもらう。
このような状態では、形式上は有期契約であっても、実態としては期間の定めがない無期雇用と
判断される可能性があります。
また、契約更新の際に、「ここに判子を押してください」と書類だけ渡し、
仕事内容や契約条件の説明を一切行わないケースも見受けられます。
更新とは、本来、会社と従業員が改めて契約内容を確認し、双方が納得したうえで新たな契約期間を
スタートさせる大切な機会です。
その意味を理解せず、単なる事務手続きとして済ませてしまえば、契約更新の本来の目的は失われてしまいます。
さらに注意したいのが、採用時の言葉です。
例えば6か月契約で採用したにもかかわらず、「長く勤めてもらうからね。」、「うちでずっと頑張ってほしい。」
このような言葉を何気なく掛けてしまうことがあります。
もちろん、会社として期待を伝えたい気持ちは理解できます。
しかし、従業員からすれば、「この会社では長く働ける」と受け止めるのが自然です。
その期待を持たせたにもかかわらず、契約期間満了を理由に突然更新しないとなれば、
「話が違う」という思いが生まれます。
雇止めのトラブルは、このような期待と現実のギャップから発生することが少なくありません。
有期雇用契約だからこそ、会社は契約期間中に何を期待するのかを明確に伝える必要があると考えています。
・どのような業務を担当してもらうのか。
・どのレベルまで求めるのか。
・どのような成果を期待しているのか。
・そのための契約期間はいつまでなのか。
・更新を判断する際には何を基準とするのか。
・そのうえで、待遇はどんな内容なのか
これらを具体的に整理し、労働条件通知書や雇用契約書に明確に記載することが重要です。
労働条件通知書や雇用契約書は、「法律で義務だから作る書類」ではありません。
会社が何を期待し、従業員はどのような条件で働くのかという約束を共有するための大切な書類です。
この目的を理解していれば、契約更新のたびに従業員と対話し、仕事の内容や今後の期待について
話し合う機会が自然と生まれます。
そして、私は雇止めトラブルの本質は、法律問題よりも感情の問題だと思っています。
「契約が終わったから辞めてもらう。」 そう会社は考えていても、
従業員は、「大切な戦力として見てもらえていなかった。」、「使い捨てにされた。」
そう感じることがあります。
その気持ちが、不信感となり、トラブルへ発展してしまうのです。
だからこそ、有期雇用だからといって、正社員より軽く考えてはいけません。
限られた契約期間だからこそ、一人の仲間として尊重し、期待する役割を丁寧に伝え、
契約更新のたびに誠実な対話を重ねることが重要です。
トラブルを防ぐ方法は、法律を知ることだけではありません。
会社が有期雇用労働者を「一時的な人手」と考えるのか、「会社を支える大切な戦力」と考えるのか。
その姿勢が、信頼関係を築くか、トラブルを生むかの分かれ道になります。
契約期間には終わりがあります。
だからこそ、その間、敬意と誠実な対応を欠いてはなりません。従業員は、明日のお客さんかもしれません。
この精神こそが、雇止め・契約更新トラブルを未然に防ぐ最も確実な労務管理ではないでしょうか。